費用対効果の効果は無限であるが、費用というのは有限である。なぜながらば効果は現象であることに対して、費用は資源であるからだ。よって、資源であるので、資源への認識の差により、考え方が異なってくる。

世代によって資源への認識の傾向があり、特に20代〜30代はこの資源について極めて敏感な世代なのではないかと感じる。それは超高齢社会の中で、少数で多数を支えていくというような中で無駄なことはできないという危機感があり、また、人々の時間や人手を含めて資源は独占するのではなく共有物という認識を持つ傾向があるからだ。

つまり、費用対効果というのは、費用と効果が一体のものであり、効果に対する必要費用を考えるということは極めて重要であり、その置かれた環境や時代によって、費用の捉え方は異なってくるということだ。

ゆえに従来の、まずは効果(=目的)というものがあり、それに対してどれだけの費用が必要なのかという逆算の思考だけでは進むことができない時代に突入しているように思う。なぜならば、費用(=資源)は今の時代、特に有限であるからだ。効果に対して、いくらでも費用を用意できるという時代ではないからだ。共有物の資源(=費用)は大切に使う必要がある。その根底にある直感はあらゆるシーンで表出されてきている。

つまり、従来のビジネス書に教わった、費用(=資源)を考えず、まずは実現可能性を考えるという発想は現代において通用しないということだ。いくらでも費用(=資源)を用意できる時代は終わった。今必要なのは、最適費用と最適効果のバランスである。そのセンスが昨今では若者の闘争心のなさのように評論を見受けることもあるのだが、それは闘争心の無さなのではなく、若者の冷静な視点であるというように感じる。