ライフスタイル提案という言葉が、様々なシーンで使われるようになった。しかしライフスタイル提案とは誰かのライフスタイルにあてはまるパッケージを提案するということなのだろうか。そのような疑問、もやもやがしばらくあった。

答えとしては、ライフスタイルを提案することはできないということ。ライフスタイル提案とは、だれかのライフスタイルに対して、そのライフスタイルへ向けて、何かを提案するということだ。ここを間違えると、ふわっとした中途半端なサービスを提供してしまう。音楽の専門家が、だれかのライフスタイルにぴったりな曲を提供するということ。服屋が、誰かのライフスタイルにぴったりな服を提供するということ。それがライフスタイルへの提案なのだと思う。

服屋に食べ物は提案できないし、食べ物屋に服は提案できない。それは専門家が専門を行うことが質が深いという比喩として。

ライフスタイル型のお店、という概念が広がりきった今。改めてライフスタイル提案という本質を見つめた時、一つの組織がライフスタイル丸ごと提案することは困難であることに気が付く。リソースや意識の集中力において。

ゆえにライフスタイルを提案するということではなく、ライフスタイルへ提案するということ。そこに行き着いた時、幅広い提案という印象は、逆にソリッドな提案ということになる。

ライフスタイルへ提案するということは、ピンポイントに提案していくということ。だれかの暮らしに対して、そのスタイルにはまるピンポイントを提案するということ。それがライフスタイル提案だ。