「帰れば食うに困らない場所を持つ暮らし方」という副題のとおり、そのような暮らしが紹介されています。

田舎は家が余っている状況があって、ローコストで家を借りれるので、そこに家を借りて、都会と行ったり来たりするという暮らし方。 また、田舎ではいろいろなことが整っていないので、いろんなことが仕事になるということも紹介されています。例えば、パン屋とかラーメン屋とか、畑仕事の手伝いとか。

そのような、ローコストでちょっと仕事もあってというフルサトがあれば、もし都会に疲れても、そこへ避難するというような感じ、そのようなライフスタイルが紹介されています。

また、著者は伊藤洋志氏とpha(ファ)氏。二人は実際に田舎にフルサトをつくって、そのような暮らしを実践しています。田舎とフルサトを行き来すると、それぞれの場所で視点が変わるというようなことが書かれていました。

本書はなかなかの充実した分厚さなので、途中で読むのをやめようかなぁと思ったのですが、二人の体験談と考え方を読み進めていくうちに、いつのまにかすらすらと読み進め、終えていました。体験談なので、リアリティと説得力があったのかもしれません。

共感できることが多く、私も今のライフスタイルが、家ではないのですが、家庭菜園としての畑と、仕事は都会のど真ん中なので、畑と街を行ったり来たりしているというような感じです。

本書の場合は、その畑が、田舎の家なのですが、暮らすのも、遊ぶのも、働くのも、同じ環境が続くと、思考がその環境にフィットするので、なかなか新しい視点を持つことが難しいように感じます。例えば、歩く道やご飯を食べるところも、意識的に変えることがあります。同じことで習慣が根付きそうになる時点で、他のやり方に変えるということです。

感覚的にそのほうが発想が凝り固まらないような実感があるからです。ただ、それは理性で行動しているので、本能的に心地よいかどうかは分からないのですが。何も考えなければ、いつもと同じ道を歩いて、同じお店でご飯を食べてということになると思います。そのほうが自然な状態で、もしかすると本能的には組み込まれた行動なのかもしれません。

そのようなことを考えたり、あと共感できたのは、フルサトがあることで何かとリスク分散になるという点です。それは、仕事や災害なども含めて、一か所に依存せずにもう一つ住むところでも、生業でも何かあると気持ち的にも、物質的に楽になれるという点。

行動して、そのようなことを確立するというのは、難しいように感じますが、行動してみると意外に見えてくることが多いのではないかと感じます。