その1で触れたように、マーケットにおけるキーワードは様々にあり、マーケットは常に変化しています。しかし、より深いところを突き詰めた時、今まさにマーケットにパラダイムシフトが起きるべきタイミングが来ているよう感じます。地球が中心と考える天動説から、太陽が中心と考える地動説へ認識がシフトしたように。

まずは、マーケットでの営みとしてのマーケティングのパラダイムシフトにつきまして。

これまでも、現在においても、マーケティングすなわちマーケットへアプローチする場合に、限られた資源を取り合い、勝利するということが目的になっています。そうすれば、お金が集まるので安心です。しかし、新しいマーケティングは、限られた資源を取り合い、マーケットの競争で勝利することに目的を置きません。

新しいマーケティングは、あらゆる角度から見た場合においても、真にステークホルダーにとって、ためになっているという営みを行動基準とし、目的とします。あのサービスやあの会社に資源の取り合いで勝利するのではなく、目の前のマーケティングは、ステークホルダーのためになっているのか、ステークホルダーは幸福なのか、ステークホルダーの健康は大丈夫か、ステークホルダーは感動できているのかということを重視します。

ステークホルダーとして考えうるのは、活動をともにする仲間、顧客、投資家です。従来から、ステークホルダーの満足を掲げている企業は多く存在しますが、その満足の条件は、多くの場合お金が増えるという部分においてのみを目的としています。

それは、資源の取り合いに勝利すれば、お金が集まりステークホルダーは満足するだろうという考え方です。しかし、新しいマーケティングにおけるステークホルダーの満足というのは、先でも述べたとおり、幸福や健康、感動、平穏など、そのようなことが満たされることを必要とします。その際、お金に関しては、結果として集まるということを目指します。

つまり、ステークホルダーにお金のみをもたらし、お金を目的とする従来のマーケティングから、幸福や健康、感動、平穏など、そのようなことが満たされることで、結果的にお金が集まるという順序とアプローチのマーケティングへ、それが新しい時代のマーケティングです。

すなわち、それがマーケティングのパラダイムシフトです。マーケティングのコペルニクス的転回と言えるかもしれません。従来のマーケティングと新しいマーケティングとでは、目的とアプローチにおいて正反対の営みです。