正しい論理は、適した表現方法により相手に伝わります。正しい論理だけあっても、表現方法が疎かだと、伝えたいことを伝えることができません。それはマーケティングにおいては、例えば良い商品があるけれど、その良さが伝わっていないという状態と同じです。

本書で感じたのは、堀江氏が表現方法を重視し始めたのではないかということです。氏の考えは、かつてと何も変わっていないという印象ですが、本書の内容と、本書の主張自体が、丁寧に、伝わるように表現されている印象を受けました。氏の論理や主張には好印象がありましたが、表現方法を重視し始めたことにより、より大多数への理解が及ぶのではないでしょうか。

また、本書では、働くことやお金について氏の考えが展開されていますが、その内容は、すごく基本的で、氏の革新的な印象とは相反し、襟が正されるように真摯な印象を受けます。それは、まさに、氏の元々の主張が、表現方法のシフトチェンジにより、内容が正しく伝わってくるということなのかもしれません。

つまり、氏は革新者ではありますが、実は基本に忠実で、奇をてらうことなく、着実に進んでいくことを好み、結果的にそのアプローチが革新を生んでいるということなのではないでしょうか。