エシカルファッションやチャリティーなど、社会貢献活動がかつてより注目されてきているように感じます。それは、物が溢れ、物質的には満たされた環境に対して、より新しい世界への心の欲求や貢献への欲求というポジティブな傾向であるように感じます。

その傾向に関連して、これまでの顧客満足重視のマーケティングは、ステークホルダー満足のマーケティングへ明確に移行しつつあります。エシカルファッションやチャリティーは顧客方向だけでなく、別方向でハッピーになる人を作ろうとする行動です。それに対して、これまでの、顧客が喜べば、その他を犠牲にして良いというマーケティングでは、もうやっていけないということに気付き始めている作今です。

そのことに世の中やステークホルダー達が気付き始めているので、例え顧客に支持されていたとしても、従業員、小売店、メーカー、投資家はもちろん、その先に繋がる世の中に対して貢献性がなければ、協力は得られず、マーケットでの存在は難しくなります。

例えば小売店を中心に考えた時、そこの従業員がハッピーになり、取引先のメーカーもハッピーになり、投資家がハッピーになり、そしてもちろん顧客がハッピーになる必要があるということです。そして、その関係者間で協力して行う活動から世の中へ与える影響によって、世の中がハッピーになる必要があります。それらのwinwinの好循環を体現することが、マーケットの中での存在意義であり存在条件であるように思います。

それは例に出した小売業だけでなく、ブランドやメディアはもちろん、デザインやアートなど、全ての産業において当てはまります。

そのようにwinwinの好循環を生み出していくためには、何が世の中のためになるのかということを限りなく考えつづけ、主観を磨き続ける必要があります。そして、その時点での答えに基づいた行動で、ステークホルダーと世の中に対して、価値をアウトプットしていくということ。それが、企業、個人問わず、活動の意思となるように感じます。

そのような思考を巡らせた時、今日の売り上げをどのように上げようかという、点の発想でビジネスにアプローチすることは、視野が狭く、虚しいことであり、逆に、どのように世の中に貢献できるのかという立体の視点で取り組めば、売上が結果として上がるのは至極当然のことであるように思います。