売上と利益が目的に据えて、企業活動は行われます。経営は売上を最大にし、コストを最小にすることと表現することもできるかもしれません。ゆえに売上規模やどれだけ利益を残すことができたかということがステークホルダーから注目されます。

売上と利益を目的とすることは、企業活動の目的とするには、ステークホルダーにとってメリットではなくなってきているように思います。なぜならば、売上は論理的な効率を高めるという営みであるからです。論理的な説明は、いつもデジタル的で、一見シンプルですがグレーの部分を表現できていないように思います。

今、ステークホルダーにとって求められるのは、そのグレーな部分であるように思うからです。効率を求め、無駄とされてきたグレーな部分です。そこに事実があって、それは物語的な、とぎれのない、アナログ的な表現のなかにあるように思います。そこには感動があり、思いやりがあり、豊かさがあります。

それは、効率を高めることによって達成できる売上拡大や、利益確保によって成し得ることではありません。有限のパイを確保することが良しとされてきた時代において、売上拡大と利益確保が評価されるということは理解できます。しかし、今は売上と利益のための効率を高めることが評価される時期ではないように思います。なぜならば、どこかから豊かさをうばってきたということに他ならないからです。しかし、豊かさを確保する必要があるのはまず第一義的に必然なことです。

では、今評価されるべき企業活動の指標とは何なのか。それは、ファッション業界であればエシカルファッションのように、豊かなところから豊かでないところに資源を移動させるということです。それは、どれだけ自らが豊かさを確保することができたかということよりも評価されるべきではないでしょうか。

それは、論理的なアプローチやデジタルにはない、物語的で感動的で、アナログ的なことであるように思います。売上と利益を目的に据えていては、それを体現することはできません。むしろ、豊かさを在るところから無いところへ回すという行為は、豊かさをどれだけ確保できるのかということを命題にしている現状とは真逆のベクトルです。

ゆえに、売上と利益を目標に据えるのではなく、その先にあるその売上と利益を、いかに困っているところへ回すということを目的とするべきであるように思います。なぜならば、それが未来であるように思うからです。そのようなことがステークホルダーから評価されるべきことであり、その潮流は事実、少しづつ見えてきているように思います。

また、経営も売上の最大化、コストの最小化と定義するのではなく、どれだけ豊かさを在る所から無いところへ回すことができたのかということを本質的目的とすることが、未来の経営の定義なのではないでしょうか。