スタートトゥデイが月次での商品取扱高と会員数の公表中止を発表しました。投資家に対して随時情報を開示するというのは求められることですが、スタートトゥデイの場合、月ごとの売上と会員数の伸び率の期待値が高く、敏感に評価されているような状況があるように思います。その伸び率に対して、株価も敏感に反応しているように思います。
今スタートトゥデイが取り組んでいるのは、 ファッション屋としての原点回帰。CMでも公開されている施策で、各ブランドのコーディネートファッションを紹介しています。そのようなファッションを提案する上での、文脈に基づいた堅実な施策も、原点回帰が表れた取り組みであるように思います。
マーケッターなら誰もが知っていることかもしれませんが、売上を上げるために必要で重要な施策は多くの場合、中期的に効果がでてくるようなことです。短期で売り上げが上がる施策は、多くの場合、お金で顧客の興味を引いているものです。マーケティングはコミュニケーションであり、顧客との信頼関係はお金や短期間で築けることではありません。
そのように考えた場合、月次の売上や会員数の発表は、短期の変化を表すものであり、中期的に地に足をつけて成長していく上で、また、あまりにも成長への期待値が高いマーケットの中において、その発表が株価や印象に悪影響をもたらすならば、今の時点では不要であると判断したのではないでしょうか。
また、毎月の伸び率に行動を縛られると、中期的に効く施策をとりにくくなってしまいます。本来、効果的なのは、中期的に効く施策を実行し続けた結果、毎月の売上に表れてきたというのが、正しい順序です。まず、その思考と行動の順序を整えるために、月次の売上に関しては忘れようという発想なのであれば、投資家は暖かく中期的な業績と施策の中身を見守ってあげるべきではないでしょうか。
関連サイト:
■平成25年3月期 3月度月次商品取扱高、会員数の状況について