ものが溢れ、無駄な消費が無駄であることが分かってきて、シンプルなライフスタイルが評価されてきている今、ものを提供する企業は、売上を上げるために、マーケットでシェアを取るために、商品を売るほどステークホルダーに評価されているという点において、世の中の流れに矛盾しています。

皆、少しづつ気付いているけれど、その価値体系や経済の仕組みを変えるというのはなかなか困難です。しかし、そんな中でも、例えば無印良品はシンプルなライフスタイルの提案に成功しているし、マーケットでは体験に基づく感動が評価されたりしています。少しづつ、モノの消費が美であるという価値観は、コトの体験が美であるという価値観へ、緩やかな流れが起きているようにも思います。

いわゆるそれは、無駄な消費への虚しさを感じているのだと思います。とにかくただモノを売ろうとする小売店を見た時や無駄な買い物をしてしまった時に虚しさを感じませんか?

もちろん、私たちの物欲は無くなったわけではなく、無駄な消費からどのようなデメリットがあるかが分かってきたということと、モノが溢れた時、モノで囲まれるということだけでは満たされないということも分かってきて、消費者として賢くなってきているというような気がします。

そのような緩やかなパラダイムシフトが起きている中、モノを売る会社が模索できることは、リサイクル、レンタル、長く使える良いものを提供する、受注生産、シンプルなライフスタイルを提案する、またはモノが売れる分だけ寄付を行うなど、でしょうか。

伊勢丹新宿店が電動アシストサイクルのレンタルサービスを始めたようですが、そのようなことを意識しているのかもしれません。急に、モノが売れなくなるようなことはないと思いますが、先で述べたような消費者の価値観の変化と、本当に必要なモノと、楽しいコトが求められているという世の中の温度を、企業は意識して行動に反映させる方が賢いのではないでしょうか。

美的感覚だけでなく、シンプルに損得で考えたとしても、そのようなことに基づいて行動するということがマーケットで評価されだしているように感じます。


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