ゾゾタウンが、どこよりもお得に買い物ができるファッションECサイトを目指すというプレスリリースを発表しました。常に送料無料でポイント還元率が10%というもの。ブランドを扱うお店としては、定説の逆を行っているのではないかという印象を受けました。

ポイントと送料なので、要はお金で引き付けるという施策ですが、お金で繋がる関係はお金が無くなると離れてしまう弱い関係です。これは、コミュニケーションすなわちマーケティングにおいて言えることです。

今回の施策は、顧客のアンケート結果に直接答えた形とのことですが、安ければ買うというのは当然のことであり、皆が思うことです。企業は、顧客の言うことを鵜呑みにしてはいけません。なぜならば、顧客は顧客自身が感動することを知らないからです。もし顧客が感動することを自身で知っているならば、企業のサービスは不要であるということになります。つまり、企業は顧客の声を参考にすることはあっても、要望を鵜呑みにしてはいけないのです。企業自身のフィルターに通して、自身で行動を考える必要があります。

また、今回の施策で気になるのは、顧客価値がお金以外に何もないということです。それは、売上を上げるということが目標になった場合陥ることの一つです。手っ取り早く売り上げを上げることができますが、売上というのは目標ではなく、指標、もしくは結果です。顧客にとって何か価値が生まれた時、それは売上という結果となります。よって、企業はまず顧客価値を目標としなければなりません。しかし、間違えて売上を目標としてしまうと、どうやったら売れるのかという方向に思考が進んでしまい、お買い得という施策の方向に走ってしまいがちです。

本来、思考すべきなのは、どうやったら楽しんでもらえるのか、喜んでもらえるのかということ。極端にいうと、売上を上げるということは、考える必要がないことなのです。なぜならば、売上は行動の結果及び指標以外の何ものでもないからです。

お買い得の施策、すなわち安売りの方向が良くないのは、長期的にステークホルダーにとって様々な意味での利益が圧迫されるからです。それは、安売りを享受する顧客にとっても言えることなのです。この点に関して下記でも述べております。

ZOZOTOWN(ゾゾタウン)の信頼はブランドを値下げしないということ

さて、今回の施策でゾゾタウンは売上が上がると思います。また、利益に関しても、今回の原資は広告費から回すようなので、減らないのかもしれません。しかし、中身は、お金で繋がる顧客の数が増えることになります。また、ブランド側もあまり良い気持ちではないのではないでしょうか。そういった良い面、悪い面は、プレスリリース発表翌日のマーケットでは、昨日対比-6.39%という株価で判断されています。