ユナイテッドアローズ既存店の6月度において、様々な売上高が昨年対比が下回りました。
・小売+ネット通販既存店売上高:94.9%
・小売既存店売上高:95.9%
・ネット通販既存店売上高:89.2%
・小売既存店客数:89.6%
・小売既存店客単価:107.0%
まず、既存店で下回っておりますが、新規出店の売り上げも含めた全社のデータにおいては、昨年対比で上回っています。新規出店と閉店を上手に行い結果的に全社の売上で昨年対比を上回ることができているならば、外部環境の変化がある中、既存店だけの数値で事業の成果を判断するのは誤りであると思います。
しかし、今回既存店での結果を取り上げたのは、既存店において売上が落ちたユナイテッドアローズの前向きなトライをご紹介するためです。前向きなトライとはセール時期を遅らせたということです。その背景には、プロパーで販売する商品の比率を高めて利害関係者(ブランド、自社、投資家)の利益を確保するという目的がおそらくあります。
ゾゾタウンもセール時期を遅らせるということ、予約販売を行いプロパー比率を高めるということを行っています。伊勢丹もセール時期を遅らせています。このように今シーズンはセールの時期、プロパーでの販売比率というところにファッション業界として目が向いているようです。
そういった部分でのトライをユナイテッドアローズも行っているように感じます。そしてセールを遅らせることによりセールでの売り上げの勢いが6月度の売り上げ実績にのってこないので、結果的に昨年対比を下回るということになっています。
安売りでブランドを販売するということは、すなわちブランド、消費者、株主全ての利害関係者にとって長期的な不利益を被ることになると思われます。
参考:
■ZOZOTOWN(ゾゾタウン)の信頼はブランドを値下げしないということ
そういった理由で、セール時期を遅らせたり、予約販売比率を高めたりという、一種自然の流れに対して対策を打つということが理解できます。
しかし、逆にプロパー比率の低下とセールの時期が年年早くなってきていたという事実に対する原因の解明も必要です。そこを考えると、ブランド価値の低下、小売店の販売力の低下の可能性もあり、サービス提供者側としては反省と疑いを持っておくということも必要なのではないでしょうか。
ブランドが売れない理由として、外部要因であるファストファッションの人気上昇のことが声で上がる場合もありますが、そこを要因に含むとインテリアや食品や家電なども含まなければなりません。なぜならばマーケットとしてもちろん被る部分もあると思いますが、ライバルとして据えるほどマーケットを取り合っているとは考えにくいからです。
限りなく内に要因を求めるということがまず必要です。それでもしブランドを購入する顧客がファストファッションを求めているということが事実ならば、事業自体を変える必要があります。